文末表現はなるべく整える事でインドネシア技能実習生(以下実習生)に私たちの言葉が伝わりやすくなります。
私たちは普段話から様々な文末表現を使って日本語を話しています。しかし、日本語学習者にとっては、勉強した事のない(慣れていない)文末表現を使われるだけで言葉の意味を理解できなくなるようです。
いくつかの例を挙げて文末表現を紹介していますので、参考にして頂けたらと思います。
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文末表現での戸惑い
日本に何年もいるインドネシア技能実習生と日本語の語尾の話題になりました。
語尾が違うと意味がわからなくなる、特に日本に来たばかりの時は、教科書と違う言葉を使っていて戸惑ったと話していました。私:「魚は好きですか?」
実習生:「はい、好きです」
私:「魚は美味しいよね!福井の魚は、、、」
実習生:(美味しいよね、「ね」ってなに?どんな意味があるの?わからない) -
文末表現をなるべく整えましょう。
①丁寧語
日本語学習のほとんどの教科書では語尾を「です」「ます」を使う丁寧語から学び始めます。
丁寧語を使った方がより相手に理解してもらえます。【例】
畑にいくよ〜→畑にいきます!
日本に来たばかりの実習生には、「です」「ます」で話しかけると、とても伝わりやすくなります。私自身も、意識して「です」「ます」で話しかけると驚くほど伝わるようになりました。
②指示表現
「〜しましょう」は勧誘の意味もあるので、「〜して下さい」を使うとよいです。【例】
収穫しましょう→収穫してください
私自身、「〜しましょう」の表現をよく使っていて、伝わっているものだと思い込んでいました。しかし「やさしい日本語」を学び、「〜しましょう」が伝わりにくい表現だった事を知って驚きました。
よくよく思い返せば、収穫しましょうと言った後、実習生の反応が悪かったように思えます。
「収穫」という単語を理解して仕事上は問題なかったのだと思いますが、おそらく「〜しましょう」はわかっていなかったのかと思います。なので、できるだけ文末表現は統一していきたいと私自身学びました。③可能不可能
「れる」「られる」ではなく、「〜ことができる」とうい表現が伝わりやすいです。【例】
鎮圧機使える?→鎮圧機を使うことをできますか?または、→鎮圧機できますか?
農園には毎年新しい実習生が入ってきます。基本的には先輩実習生から新人実習に仕事を教えてもらっています。そして、仕事を覚えているかの確認のために、私からよく質問をします。その際、日本語としては間違いなのかも知れませんが名詞に「できますか」という表現が伝わりやすいと実感しています。
④受け身表現
「れる」「られる」といった受け身や使役の表現は動作の主体が伝わりづらいため、主体を主語にした表現を使いましょう。【例】
誰に言われましたか?→誰が言いましたか?
日本語を学び始めた実習生は、「わたし”は”」や「わたし”が”」などの助詞を目印にして文章の主体を判断しているようです。そこで、使役や受け身の表現だと誰がその動作をした人かを理解しづらくなってしまうようです。
日本に来たばかりの実習生には特に文末表現が違うだけで、伝わり辛くなってしまいます。
できるだけ文末表現を整えて頂けたらと思います。一方で、実習生の語学レベルは日に日に成長していきます。
個人の差はありますが半年を過ぎる頃にはこちらが文末の表現を気にしなくても伝わるようになります。
やさしい日本語とは、外国人にも分かるように普段使う日本語を簡単にする「易しい」
と、会話をする相手に合わせる「優しい」気持ちの二つの意味が込められています。
文化庁と出入国在留管理庁が作成した「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」
というものがありますので、そちらも参考にして頂けたらと思います。