実習生の受け入れを検討している会社の方から、「イスラム教でない方が良いです」という声を聞いたことがあります。多くの日本人にとって馴染みが薄いであろうイスラム教に対して、不安があるのは理解できます。しかし、有能な人材を確保するという観点から見ると、これは大変不利な選考条件になってしまいます。
しっかりと準備をして良い人材を受け入れましょう。
外国人材を希望する会社の方と話していると、「イスラム教以外の方が良いです」というセリフに出くわすことがあります。
正確な統計がありませんが、日本におけるイスラム教徒の割合は0.5%未満と言われており、大変馴染みが少ないのも事実です。また、中東や中央アジアの紛争のニュースなどで、あまり良いイメージを持っていない方もいるのかもしれません。自分たちに馴染みがないことから、「イスラム教以外の方が良いです」といった言葉になるのだと思います。また、そういう方に理由を尋ねると、「断食の習慣では、仕事場としてどう対応していいのかわからない」や「お祈りで仕事が何度も中断するのでは?」という不安もあるようです。
(※断食について詳しくは、他の記事(「断食月との付き合い方」「断食明け大祭(レバラン)の休暇ってあげないといけないですか?」)を参照してください。)
しかし、インドネシアで選考する場合、この条件はかなり不利になります。なぜならインドネシアでは、約86%の方がイスラム教徒だからです(2021年の同国宗教省の調査より)。
(https://www.jbic.go.jp/ja/information/investment/images/inv_indonesia01.pdf)
イスラム教徒以外の方を条件とすると、この86%の方が対象外となり、それだけでも良い人材を逃してしまいます。人材獲得の競争の中ではかなり不利な条件になります。
弊社ではイスラム教徒の方でも、日本人やほかの宗教の方と同じように働き、みな活躍しています。宗教の違いはとくに問題とは思いません。私たちが少しだけ学ぶことで、宗教の違いから生じる不安は解決できると思います。また、選考時に宗教上の習慣の違いについてお互い話し合っておくと、雇われる方も納得して就職することが出来ます。
例えば、イスラム教では1日に5回お祈りをする習慣があります。Subuh(夜明け前)、Zuhur(昼12時頃)、Asar(午後3時頃)、 Magrib(夕方6時頃)、Isya(夜8時頃)で、Asar(午後3時頃)のお祈りが、業務の時間と被ることが多いです。
弊社の場合、お昼休みを長めにとるので12時頃のお祈りは問題になりませんが、午後3時のお祈りの時間をとることができません。この事は選考時に相手にも伝え、それに同意できる方だけを選考対象としています。事前に条件を話し合っておくことで、特に問題は起きていません。
午後3時に休憩がある場合、その時間内にお祈りができるかどうか選考時に確認してください。お祈りにかかる時間は個人差もあり、かなり長くお祈りに時間をかける方もいます。休憩時間を正確に伝え、それが終われば速やかに仕事に戻ることに同意を取っておくと良いでしょう。お祈りが出来ると聞いていたのに、時間が短すぎるという不満が来日後に生まれないようにするためです。詳細な条件を伝えて、その条件に同意する方のみを選考対象とすれば問題は起きにくくなります。
良い人材を採用するためのヒントにしてください。