実習生たちは、企業や受け入れ農家が準備した部屋で生活をします。先輩や同僚と共同生活をすることが多いかもしれません。住居に関して外国人技能実習機構では、プライベートなスペースを一人当たり7.5㎡用意しなさい、と条件づけられています。これは4畳半のスペースくらいです。しかし、いまだに条件が守られていないなどの問題が後を絶ちません。先日の2023年6月にも鹿児島県枕崎市で外国人技能実習生を受け入れる事業者を指導・監査する監理団体が、十分な居住スペースを確保していないなど、複数の点で国の運用要領に違反していたことがわかりました。それだけでなく、体調不良を訴える実習生に服を脱いで患部を見せるよう求めるなど、人権侵害が疑われる行為もあったようです。
法令違反はなくても、実習生側の嗜好も変化しており、それが今までの寮や共同生活に変化が生まれています。今のインドネシアの若者は、やはり一人暮らしに憧れています。個人的なスペースが7.5㎡以上確保されていても、みんなで暮らすことに抵抗を感じる子も居れば、日本に来ればドラマで見たような一人暮らしが出来ると考えている実習生も多くなりました。そのため、法令上問題はないのですが、実習生たちには不満のある生活環境もあります。監理のために無理やり一か所に入れられているのではないか、と考える人もいるかもしれません。
こうした時、雇用側がむりやり実習生の部屋について意見を言えば、不満や軋轢が生じたりします。どんなに言葉を尽くして「法令上問題ない」や「魅力的な寮だ」といっても、肝心の日本人たちがその生活をしていないので、当然、不満は溜まります。そんなに魅力的なら自分(日本人スタッフや経営者)がここで暮らせばいい!と投げやりになる実習生も出てしまうと、拗れはなかなか解消しないでしょう。
この場合は、まずは相手の意見を聞きましょう。その上で、他の賃貸を探せるWebなどを紹介し、その実習生に探させてみるのが良いと思います。賃貸は専門的な言い回しが多いので(敷金、礼金、共益費など)、言葉が解らない場合は補助してあげてください。本当に自分で部屋を探してそこに住みたいと思うのなら、その彼もしくは彼女は部屋探しのアクションを取ると思います。アクションを取るような実習生であれば、積極的に相談に乗ってください。ただ何に不満があるのか言語化できていないけど、部屋にかこつけて文句を言いたい方だと、そこでアクションはなくなります。他の問題が潜在している可能性があるで、必ず引き続き相談に乗ってください。ここを怠ると大変なことになります。
弊社でも、弊社が借りている一軒家を女性の特定技能の方に使ってもらっています。しかし特定技能の方が、新しい方に入れ替わり、今までのルールや常識などが見えず、もっといい部屋があるのでは、と相談に来ました。そこで福井の賃貸のWebを3社紹介し、少し自分たちでも探してもらうことにしました。良い物件があれば一緒に見に行きましょう、と言っています。自分たちの暮らしを自分たちが決める喜び、これが外国人材の現場ではやや軽視されているようにも思えます。彼女たちが良い物件を見つけられると良いなぁ、と思います。僕も探すのを手伝おうっと!