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本サイトでは、インドネシア人の技能実習生・研修生を受け入れている農業事業者の方が、お互いの理解を深め、よりよい受け入れ環境を作れるよう、「農園たや」での取り組みを紹介しています。

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サマサマ手帳 農園たや

本サイトでは、インドネシア人の技能実習生・研修生を受け入れている農業事業者の方が、お互いの理解を深め、よりよい受け入れ環境を作れるよう、「農園たや」での取り組みを紹介しています。

サマサマ(sama sama)はインドネシア語で「どういたしまして」や「お互いさま」といった思いやりを表す温かい言葉です。

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試験の受験を後押ししてみましょう

  • サマサマ手帳 農園たや
  • 記事執筆者 : 田谷 徹

サマサマ手帳

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人材育成

技能実習生の日本語レベルは日に日に向上していきますが、仕事や生活上の会話に問題がなくなる程度まで上達してくると、そこで満足してしまい、次のレベルを目指さなくなる傾向が見られます。しかし、「会話」だけでなく「読み書き」ができる程度、具体的には、日本語能力試験のN3級に合格できる程度まで学習が進むと、任せられる仕事も、地域社会との関わり方も一気に幅が広がり、受け入れ農家さんの経営にも間違いなく良い影響が生まれます。

日本語能力を測定するテストはいろいろとありますが、有名なところでは日本語能力試験(JLPT)と国際交流基金日本語基礎テスト(JFT)、日本語NAT-TESTなどがあります。これらはインドネシア国内でも受験可能で、実習候補者に派遣前に受験してもらえば日本語の能力を測るのに利用できます。それぞれ特徴は違いますが、ここでは日本語能力試験(JLPT)で話を進めたいと思います。JLPTはN5級からN1級までレベルがあり、それぞれのレベルは以下のリンクで確認できます。

技能実習生は、来日前に日本語学習をしますが、農業分野では日本語能力を測る試験に合格する必要はありません(介護職は入国時N4級が必要)。日本語の学習時間が決められているだけです。そのため、来日時の日本語能力には個人差があり、時にはまったく日本語での意思疎通ができない実習生もいます。
弊社では、当初実習生の日本語能力向上にあまり力を入れていませんでした。インドネシア語のできるスタッフがいて、日本語以外での意思疎通ができたからです。もちろん、実習生たちが日本語を学べるように日本語教室の情報や登録の手伝いなどはしていましたし、JLPTの試験に合格すれば、ボーナスを出すなどインセンティブも付けていました。しかし日本語教室で学習する日本語では、農業現場での専門用語を教えてもらえることは少なく、必ずしも仕事の効率化とつながっていないように思えました。また、現場で1年ほど仕事をすればある程度仕事の単語も覚えてしまうため、不便を感じていませんでした。

その考え方が変わったのは、一人の実習生(シティさん:2020年来日)との出会いからでした。シティさんは、実習修了後に日本の大学への進学を希望していました。そして、入学条件を調べていく過程で、N2級の日本語能力が求められていることを知りました。そこで、日本語教室の先生と相談し、それまでの学習方法を変えて、JLPTのN2級を目指して学習することにしました。

余談になりますが、日本語教室によっては、学習の目標を試験合格に設定していない教室もあります。外国人が不便なく生活できるようにと、難しい漢字の習得には力を入れず、会話中心で教えている教室もあります。先生が何を目指しているかは、話し合わないと分からない場合もありますので、教室選びの時には、ぜひ相談してみてください。

さて、シティさんが日本語学習法を変えてJLPT合格を目指すようになってから、シティさんに任せられる仕事がどんどん増えていきました。日本語が読めるので、注文票に従って商品を分配することができます。また、日本語が書けるので、県外レストラン向けの宅配便の荷造りを任せられます。注文量と野菜の生育状況を考慮しながら、収穫量を決定することもできるようになりました。

およそ日本人スタッフでなければできないと思っていたことの多くが任せられるようになっていました。また、シティさんに刺激されたのか、他の実習生たちも熱心に日本語学習に取り組むようになり、同時期にいた実習生は皆、N3級を取得しました。これを受けて、弊社では一気に情報の共有化を進めました。いままでは日本人スタッフのみに共有していた発注表や作業予定表などの情報を実習生にも共有することにしたのです。農園全体の仕事効率が上がり、農園の業績も一気に良くなりました。今では、実習生が日本人スタッフに指示を出し、畑での作業のマネジメントをすることも多くなりました。近い将来、弊社の農作業のリーダーをインドネシア人が務めていることは、容易に想像ができます。農業の経営マネジメントにインドネシア人を登用することもまったくの夢物語ではないと考えています。

N3級レベルになると、読める漢字が格段に多くなります。指示書や発注表も普通に読めるようになり、日本人と変わりなく仕事ができます。仕事だけでなく、私生活も変わります。インドネシア人同士で固まっていた私生活での関係も、実習生自らが日本人コミュニティへアクセスできるようになり、仕事以外の友人も出来てきます。僕たちと話す内容も変わり、何をしたかを話すだけにとどまらず、どう思ったか、何を考えたか、など深い会話を楽しむことが出来ます。シティさんは、N3級を取得してから、福井県から防災リーダーに任命され、外国人向けに防災情報を提供する活動もしていました。

余談ですが、シティさんは、その後N2級まで合格しました。日本の大学も考えましたが、学費と生活費が高いとのことで、インドネシアの大学の日本文学科に編入する道を選びました。いろいろな可能性の中で自分ができるベストを選ぶことこそ、僕たちの指導するビジネスプランの本意です。シティさんのインドネシアでの成功を見守っていきたいと思います。

このような体験から、現在ではインドネシア人材にN3級を取得できるように全力でサポートしています。インセンティブとしての報奨金もボーナスのような一時金ではなく、基本給をUPして日本語学習を推し進めています。N3級くらいの言葉ができれば、仕事だけでなく日本社会への参画も増え、実習生の人生も大きく変化します。その変化は、当然皆さんの経営にも大きな利益を与えてくれるはずです。日本語習得には時間がかかりますが(N3級の場合、来日後2年程度かかります)、ぜひ取り組んでみてください。皆さんの外国人材に対する考え方が変わるはずです。

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