問題点 Problem
インドネシア人技能実習生はなかなか病気であることを伝えないことから、症状が悪化してから発覚することがある。
今回の内容 Contents
技能実習生は、深刻な病気でも病院に行かずドラッグストアーなどで薬を買って済ませることがあります。症状が悪化してから表面化し、長期入院という事もあります。健康への意識を高め、実習生の日本での仕事や生活が充実できるようにしていきましょう。
背景
実習生たちは日本でお金を貯める目的で来日しています。生活費を切り詰めている中で、多少の病気は若さで乗り切ろうという考えがあるように思われます。またインドネシアでは健康保険はあるものの加入率は低く、農村分ではまだまだ一般的ではありません。そのため病気の治療は簡易な医療施設や薬局などで済ませることが慣習的になっています。中には西洋医療を受けずに呪術師を頼る方も現地ではまだまだ少なくありません。
日本では健康保険に加入しているため、医療費が3割負担のみになるのですが、それに対する理解が薄く、近くのドラッグストアーで薬を買って済ませる実習生が多いです。医療費を安く済ませたいからでしょうが、会社や雇い主に迷惑を掛けたくない、という思いもあるようです(個人的な病気を理由に会社を休んで通院は出来ないと思っている実習生もいます)。大抵は風邪など大した病気ではなく、また実習生も若く元気な方が多いので、そのまま完治することもあります。しかし、時に症状が悪化してから発覚することもあります。農園たやでもかつて病気を隠したまま仕事をしていた実習生が、体の痛みが我慢できなくなり報告してきました。その時は症状がかなり悪化しており、3週間の入院を余儀なくされ、高額の医療費を請求されることとなりました(高額医療費制度を活用しても、実習生にはかなり高額になります)。実習生本人の肉体的精神的打撃になりますし、職場としても急な長期入院に対応しなければなりません。
対策
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健康保険の活用について説明しましょう
給与から控除されていることが多い健康保険料ですが、監理団体から説明を受けていたとしても、その中身をしっかりと理解していないこともあります。医療費の負担が3割程度や、何度使用しても保険料が上がったりしないこと、医者に行った方が早く治る&安価の場合がある、なども伝えて、医者に行くことを勧めましょう。合わせて近くの医者の情報や予約の仕方、通院のための会社の休みの取り方も教えましょう。
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定期健康診断の結果を話し合ってみましょう
健康診断の結果を本人に渡すだけでなく、結果について話し合う機会を設けましょう。結果が理解できない実習生もいて、再検査の結果でも行かない方も多いです。再検査の必要があれば病院に行くように指導しましょう。早期発見早期治療が本人も会社にもプラスになります。また問題が無くても、これらの話し合いを行うことで健康に対して意識が向く結果にもなります。
効果
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早めの受診につながります。
体調に異変を感じたときに、早めに医者にかかるようになります。早めに治療することで長期に休むリスクも減ります。
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意欲的に仕事にも取り組めます。
健康だと精神的にも前向きになります。意欲を持って仕事に取り組んでもらえるようにもなります。
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生活習慣を見直す結果にもつながります。
健康に意識的になるため、自分の生活スタイルを省みるようになります。健康的な生活が明日への労働の意欲に変わります。
注意点
言葉ができない時期は(来日後1年くらい)、予約を代わりに行う、や、受診に付き添うなどの手助けが必要な場合があります。日本の生活に慣れてきて、ある程度言葉ができるようになれば自主的に医者に行くようになりますので、初めだけは手助けが必要な場合があります。