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本サイトでは、インドネシア人の技能実習生・研修生を受け入れている農業事業者の方が、お互いの理解を深め、よりよい受け入れ環境を作れるよう、「農園たや」での取り組みを紹介しています。

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サマサマ手帳 農園たや

本サイトでは、インドネシア人の技能実習生・研修生を受け入れている農業事業者の方が、お互いの理解を深め、よりよい受け入れ環境を作れるよう、「農園たや」での取り組みを紹介しています。

サマサマ(sama sama)はインドネシア語で「どういたしまして」や「お互いさま」といった思いやりを表す温かい言葉です。

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日本で貯めたお金は何に使う?

サマサマ手帳

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帰国後の支援

低賃金と言われている外国人材でも、母国の経済状況から比較すると日本での労働ではかなり高給を得ることになります。3年間、実習生として一所懸命貯めると約180万円ほどになります。この貯めたお金は、家を建てたり、高級バイク、盛大な結婚式の資金などに消費されてしまいます。それどころか、ある実習生の家族は、送金されてきたこのお金を使いこんでしまい、仕事もやめてしまったケースもありました。得たことのない大金は、時に大きく運命を変えてしまうこともあります。計画的にお金を使うために、農園では実習生の帰国後へ向けてビジネスプラン作りを指導しています。

実習生はいくら貯める?

実習生の中には、3年間の間に150万円から200万円ほど貯める人もいます。低賃金というイメージがありますが、彼ら彼女らなりに生活費や遊興費を切り詰め、自分たちの未来が豊かになるために貯めています。ただ、その貯めたお金は、本当に彼ら彼女らの豊かな未来につながっているのでしょうか。

お金の使い道

筆者がこれまで長年実習生だった方々にインタビューをしてきた中で、そのお金の使い方にある程度パターンがあることもわかってきました。実習生たちがやってくるインドネシアの農村では、月給3万円でもかなり良い仕事になります。土地を持っていない農民の手間貸の日当は300円程度です。そのような社会の中で、200万円のお金はかなり大きなインパクトになります。なので、彼ら彼女らの故郷は、彼ら彼女らを成功者として見ます。
実習生たちも自分たちが成功者として振舞うことが求められます。それは、盛大な結婚式だったり、贅沢な家の建築だったり、メッカ巡礼だったり(イスラム教の方の場合)、高額なバイクだったり(kawasaki ninjaのケースが多いです)します。
成功者としてそれらの振舞いをするうちに、当然ですが200万円は使い切ってしまいます。そして多くの実習生たちが、日本で得た資金を有効に使えないまま、元の暮らしに戻っていきます。

親族による使い込みも

有効に使えない資金は、何も実習生本人の問題でないケースもあります。
2009年頃に受け入れた実習生にI君という男性がいました。彼は農園で働く3年間で150万円ほどのお金を貯めました。そのお金は毎月の給料から生活費や遊興費を抑え、少しずつ母国の家族に送って貯めたお金でした。
帰国後は、その貯めたお金から、農産物を保管する倉庫建設や運搬用の中古車両を買う計画を立てていました。ところが、帰国後、家族に預けたはずのお金は、ほとんどが家族の日々の消費で使い込まれてしまっていました。それどころか、父も母も仕事を辞めてしまい(ご両親の仕事は、お茶摘みのパートで日給は300円程度)、I君が貯蓄のつもりで送っていたお金で暮らしていたそうです。I君の父は「息子は日本に行ったのだから、もう成功した」と勘違いしていて、送られてきたお金を多少使っても大丈夫と考えていました。それからI君の家族は、すっかり贅沢な暮らしぶりになってしまっていました。新しくバイクを買ったり、贅沢な食生活になったり。そして、I君がビジネスに投資しようとしたお金は、一切残らず使い切ってしまいました。そのことで家族間ではかなり争いがあったようです。
最終的にはI君は家族と縁を切り、当時の恋人(今の奥さん)の実家に身を寄せて、仕事を探しました。幸い、日本での経験と彼自身の努力で、非常勤の農業普及員の職を得ることが出来ました。ただ現在でも、ご両親は仕事をほとんどせず、彼にお金の無心を続けてくるそうです。

親が引き出せない口座を

I君の事例を受けて、農園では実習生が来日する前に、家族が自由に引き出せない銀行口座を作るように話をしています。その口座の通帳やキャッシュカードは絶対に家族や友人には預けずに、一緒に日本に持ってくるように伝えます。だたそれだけではまだ十分ではありません。

ビジネスプラン作りのお手伝い

これらの問題を解決するために、実習生たちに帰国後のビジネスプラン作り(進学プランも含む)を農園では手伝ってきました。貯めたお金を帰国後のビジネスに投資することで、安易な消費で散財せず、お金を産み出す仕組みを作ることを一緒に考えるようにしています。このビジネスプラン作りの指導は、現在専用のWebで紹介していますので、身近にインドネシアの実習生がいたら、ぜひ紹介してください。実習生たちの成功者としての振舞いは、このビジネスに成功した後でも遅くはないはずです。

▼ビジネスプラン作り専用WEB(インドネシア語のみ)
https://tayabusinessplan.com

よりよい未来を一緒に作りましょう

さらに、ビジネスプラン作りの講座の中では、自分の家族の収入について調べる項目を用意しています。家族の仕事を理解し、もし家族がビジネスを行っている場合、実習生がアクセスできる資源として理解をするためですが、もう一つ目的があります。それは、すでに収入を得て、自分たちで生活をしている家族に必要以上にお金を送らないためです。必要以上の大金は、I君のご両親のように時として人の思考を狂わせます。日本でも宝くじの高額当選者たちがどのような末路になっているかをみると、理解できると思います。家族の収入を理解して、必要な額だけを送る。そして残りを自分の未来に投資する。これが大事になります。実習生が自分しかアクセスできない口座があれば、日本で稼いだお金は安全です。
まずはビジネスプラン(もしくは進学プラン)にそのお金を投資し、そして自分が本当にそのビジネスで成功した後には、贅沢な振舞いをしても、親に大金を送金しても、問題はないでしょう。まずは、自分たちの未来にしっかりと投資することこそ、日本に出稼ぎに行った甲斐があるというものです。彼ら彼女らの帰国後は、雇う側には関係がないと思われるかもしれませんが、私たちが支払うお金で、実習生や実習生の家族たちの運命が悪い方向に変わってしまうのでは、恒久的な関係性は築けません。一歩踏み込むには難しいかもしれませんが、農園が用意しているビジネスプラン作りのWebを活用し、雇う側の皆さんからも実習生の未来について問いてみてください。その関係性が、実習生たちの未来を大きく育むことになります。

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