外国人材の多くは、生活費を抑えるために共同生活をしていることが多いでしょう。しかし、共同生活では、お互いが他人同士であるため、常識や慣習の違いからトラブルに発展することがあります。日常生活でのトラブルが不和を生み、やがて職場でのトラブルにつながるケースも少なくありません。そのため、共同生活にはルールを設けることが重要であると、以前の記事(「実習生の共同生活はうまくいっていますか?ルール作りでトラブル回避」)でもお伝えしました。
今回は、そのルールとは別に、共同生活を円滑にするためのもう一つの重要なポイントについてお話しします。
個人の部屋に鍵はついていますか?
皆さんが受け入れている外国人材の方の住居には、個別の部屋ごとに鍵がかかるようになっていますか?
共同生活の場合、企業が一軒家や広めのアパートを借りて、そこに外国人材を住まわせているケースが多いかと思います。その際、特に古い住宅では、部屋が襖(ふすま)で仕切られているだけで、鍵がついていないこともあります。また、アパートであっても、部屋の内側からは施錠できても、外側からは鍵をかけられない構造になっていることが多いのではないでしょうか?
「玄関の施錠を徹底すれば問題ない」と思われるかもしれません。しかし、弊社が関わったケースでは、個人の部屋に鍵がかからないことが原因で不信感が生まれ、大きなトラブルに発展した事例がありました。
鍵のない部屋が不信を生む〜実際に起こったトラブル〜
このケースでは、外国人材がシフト制で働いており、始業時間や休日がそれぞれ異なっていました。あるインドネシア人技能実習生が、仕事から戻った際に「部屋の物の位置が変わっている」と感じたのが、トラブルの発端でした。
彼は、「自分の留守中に同居している同僚が勝手に部屋に入っているのではないか?」と疑うようになりました。さらに、「財布の現金が減っている気がする」と思うようになり、ついに同僚に抗議。話し合いは喧嘩へと発展してしまいました。
最終的に、確固たる証拠がなかったため、どちらが本当に悪かったのかは分からないままでした。しかし、一度こじれた関係は修復できず、二人は共同生活を続けることができなくなりました。その結果、会社は新たな住居を手配せざるを得なくなったのです。
監査でもチェックされる「鍵の有無」
外国人技能実習機構では、生活環境の監査の際に、個人の部屋に鍵がかかるかどうかをチェックします。鍵がない場合は、鍵付きの収納ボックスや棚などの設置が求められ、それらの対策がとられていない場合は会社に改善指導が入ります。
この監査の背景には、貴重品をめぐるトラブルが多発しているという実態があります。弊社が監査を受けた際には、担当者から「こうしたトラブルが傷害事件にまで発展するケースもある」と警告されました。
せっかく良い職場環境を整え、優秀な外国人材を受け入れても、些細なことで関係が悪化することがあります。
そうならないためにも、貴重品の管理がしやすい環境を整えることが重要です。