インドネシアでよく食べられている野菜は、品目も品種も日本のものとは大きく異なります。インドネシアで私が初めて出会った野菜や、野菜の消費状況と合わせて紹介します。
インドネシアでよく食べられる野菜は?
参考までに、日本で多く食べられている野菜は以下の通りです(*②)。
・キャベツ
・タマネギ
・ジャガイモ
・トマト
・ダイコン
日本とインドネシアでは、よく食べられる野菜が大きく異なることがわかります。
また、同じ名前の野菜でも、日本で一般的に食べられているものとは色や形が大きく異なる場合があります。例えばナス。日本で親しまれている黒い中長ナスはインドネシアではほとんど見かけません。緑色で丸い品種が多く、炒めたり、生のままインドネシアのトウガラシソース「サンバル」につけて食べたりします。日本のナスと比べてアクが強く、ワイルドな味わいが特徴です。キュウリは、輪切りにして食事の付け合わせとして使われることが多いですが、日本のキュウリと比べて太く短く、表面がつるっとしています。味は日本のものと似ていますが、より水っぽくて柔らかい歯ごたえがあります。
日本では見かけないインドネシアの野菜たち
根茎は蒸したり揚げたりして食べ、粘り気のない里芋のような味わいです。キャッサバチップスやタピオカでん粉としても広く利用されています。肉団子「バクソ(bakso)」や揚げせんべい「クルプック(kerupuk)」の材料としても欠かせません。キャッサバの葉は肉厚で繊維質ですが、味にクセがなく、茹でたり炒めたりして食べられます。
果実だけでなく、花も食材として調理されます。繊維質が強く、他の野菜と炒めたりスープの具にしたりして、タケノコに似た食感が楽しめます。
インドネシアの野菜消費の実態と変化の兆し
ここまでインドネシアの野菜について紹介してきましたが、実際にインドネシアで生活していると日本に比べて野菜が不足していると強く感じます。庶民的な屋台やレストランでは野菜を使う料理が少なく、あったとしても油炒めが多くて、味付けが濃いものが主流です。付け合わせとして少量のキュウリが出されることがありますが、生野菜が主役となることはほとんどありません。実際、インドネシアの一日一人当たりの野菜消費量は、WHOが推奨する基準1/4程度にとどまっているというデータがあります(*③)。
このような消費傾向の背景には、伝統的な食文化に加えて、経済的状況が影響していると考えられます。比較的食文化の似ているジャワ島内では、首都のジャカルタが飛び抜けて野菜消費量が多くなっています(*①)。
また、首都圏を中心に食の西洋化が進み、イオンをはじめとした海外資本のスーパーマーケットが増えた影響で、健康志向のオーガニック野菜が広がりつつあります。
インドネシアの野菜消費の状況は、経済発展に伴い今後も急激に変化していくと予測されています。
*①
Pengeluaran untuk Konsumsi Penduduk Indonesia per Provinsi, Maret 2020 (インドネシア人口の州別消費支出 2020年4月)
https://www.bps.go.id/id/publication/2020/11/02/ecda2f1aa3a8b6be1a376a4c/pengeluaran-untuk-konsumsi-penduduk-indonesia-per-provinsi–maret-2020.html
*②
農林水産省『令和4年度「アフターコロナ」を見据えた 野菜・果物の消費動向調査結果』 (消費者)
https://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/engei/aftercovid19/attach/pdf/1-7.pdf
*③
Buletin Pemantauan Ketahanan Pangan INDONESIA (インドネシア食料安全保障報2017年11月)
https://docs.wfp.org/api/documents/WFP-0000024091/download/