「どこまで生活環境を整えたらいいのか?」
初めて外国人材を受け入れる方からよく相談される質問の一つです。「できる限り揃えてあげたい」けれど、「経費はなるべく抑えたい」というのが正直な気持ちでしょう。
「必要なものは自分で買い揃えるのが当然だ」という方もいますが、実習生に全てを負担させると生活がままならず、働くモチベーションも上がりません。特定技能で就労している場合、「他の会社へ転職したい」と考える方も出てくるでしょう。
この記事では、私の経験から「最低限これだけは必要」と考えるものをお伝えします。このような初期投資を考慮して、外国人材の受け入れを検討してください。
住居
技能実習生や特定技能外国人のための住居の広さは、法令で決められています(2024年執筆時点では一人あたり7.5㎡以上の居住スペース)。一人あたり4畳半あれば基準は満たせますが、可能な限り相部屋は避け、一人につき一部屋を用意してあげてください。受け入れ人数にもよりますが、田舎であればアパートよりも中古の一軒家を準備する方が安価な場合もあります。
ルームシェアするなど複数人が居住することとなる場合には,居室全体の面積を居住人数で除した場合の面積が7.5 ㎡以上でなければなりません。
住居広さ7.5㎡以上 = 住居(居室)面積 ÷ 居住人数
※ロフト等はこれに含まれない
インターネット環境
実習生の住居にはインターネット環境が必要です。何かを調べたり、勉強したり、息抜きのために音楽を聴いたり、動画を見たり。そして頻繁に本国の家族と連絡を取るためにもインターネットは不可欠です。
実習生に通信会社と自分で契約してもらうことも考えられますが、それでは来日直後の一番孤独な時期にインターネットが使えない状況になってしまいます。
また、「近くにフリースポットのインターネット環境があるから(コンビニ等)、それでいい」という意見もありますが、それでは不十分です。それほどインターネットは頻繁に使用されるものだからです。
インターネット通信のコストは月に5,000円程度です。費用対効果は十分に高いので、なんとか雇用主に負担していただきたいところです。
家電
最低限必要な家電は次のとおりです。
・掃除機
・電子レンジ
・ガスコンロ(またはIHコンロ)
・洗濯機
・エアコン
・ストーブ(地域に応じて)
「エアコンは贅沢では?」という意見もありますが、近年の日本厳しい気候を考えると、実習生に健康でいてもらうためにはエアコンは必須です。
インターネットの通信費や家電の費用(リース費)を給与から控除したい、と考える雇用主もいるでしょう。その場合は、来日前に正確に金額と内容を伝え、実習生の了承を得ておく必要があります。これについては、別の記事で詳しく説明します。
その他
調理器具も最低限揃えてあげましょう。包丁、まな板、フライパン、鍋など基本的なもので構いません。さらに必要なものは実習生が自分で購入します。食器も必要です。家で使っていないものや、100円ショップのもので構わないので、最低限の一式を用意してください。寝具としては、布団一式と毛布、替えのシーツが必要です。また、自転車も移動手段として必須です。
これら全てを準備するには予想以上の費用がかかるかもしれません。「給料以外にそんな出費が本当に必要なの?」と不満を持つ雇用主もいるかもしれませんが、実習生に気持ちよく仕事をしてもらうための先行投資だと考えてください。一度揃えてしまえば、次に来る実習生には同じ家電や調理器具などを使ってもらえばよいので、負担は軽くなります。
必ずしも新品である必要はありません。中古品やリサイクル品を活用しても良いでしょう。
最後に
雇用主がどのような準備をしてくれているか、実習生はしっかりと見ています。そして、自分がどのように扱われているのかを理解しています。自分が他の日本人と同様に大切に扱われているか。他の地域の実習生と比べてどうか。過剰な待遇は不要ですが、良い生活環境が良い仕事に繋がることを考慮した上で準備していただければと思います。
自分の子供が遠方の大学に行って一人暮らしを始める、それと同じ感覚で準備をすれば大きな間違いはないでしょう。